勉強する理由


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 かつて、子ども向け「ウルトラマン」シリーズに出てきたお話です。

 あるとき、異星人から地球に連絡が入って、こちらの宇宙都市の操縦が利かなくなり、地球と衝突しそうだ、ついては地球の進路を変えてもらえないか、と依頼をしてきます。

 できるわけがないと断ると、「ひょっとして、君たちは自分の星を動かせないのか、それで恐ろしくはないのか」と驚かれてしまうのです。

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 地球を動かすなんて無理な相談ですが、考えてみれば、私たちは、地球に限らず、自分たちを取り巻く環境や、社会のシステムに、無条件に全幅の信頼をおいて生活しています。

 そして、そうした環境やシステムが安定して機能する限り、とくに、その存在を意識することもありません。

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 しかし、先ほどの異星人ではありませんが、これまで無意識に依存してきたものに、いつまで頼り続けていられるのだろうと疑いを持つときが、人生には何回か訪れるように思います。

 思春期に、人生の歩みについて思い悩むときがそうですし、何かをきっかけに、死を意識して、生きる意味を問い直すときもそうでしょう。

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 また、時代の流れとともに、社会のシステムや価値の体系が変動して、目に見えてその信頼性が揺らぐこともあります。

 戦前から戦後へかけての価値観の反転がそうでしたし、世界有数の豊かな国である日本が、今後迎える苦渋の時代にも、同じことが起きるかもしれません。

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 無条件の信頼が揺らぎ、不安のなかに投げ出されて、生きる意味がわからなくなったとき、人間が頼れるものの一つが、知識だと考えます。

 小林秀雄は、トルストイ全集を読めば、普通の人間が一生の間に考えたり、悩んだりするほどのことは、すべて書かれているという意味のことを述べています。

 自分だけの悩みだと思っていたものが、過去の多くの人と共通しているとわかれば、心の持ちようも変わってくるでしょう。

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 人間の知識の一端を担うものという意味においては、学校の勉強もまた、無価値であるはずがないのです。

 勉強を生かすも殺すも、学ぶ側の気持ち次第です。

 この混沌とした世界で、よりよい生を選択するために、まずは勉強しましょう。
あさのは塾便り::本・映画など | 02:33 AM | comments (x) | trackback (x)

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