HOME > 基本方針
「ていねいな指導」「わかる喜び」「やる気度アップ!」「成績アップ!!」
上記のキャッチコピーは、かつて当塾の広告で使っていたものです。今もこの基本ラインに変わりはないのですが、あるときを境にこのコピーは封印してしまいました。
というのは、ずっと気にかかっていたことがあったのです。それは、「どんなに一生懸命教えても、成績が上がらない子どもがいる」という厳然たる事実のことです。
手取り足取り教えて、本人も「わかった」と自信を持つようになり、復習を繰り返して、テスト本番を迎えるのですが、さて、結果を見るとあまりはかばかしくない。
長らくこの仕事をしていると、そんなケースにしばしば遭遇します。
こういうとき、塾としては一応「ご本人の努力不足」と弁明します。実際、努力の足りない場合も多い。
とはいえ、お月謝を頂いて生徒さんをお預かりする以上、「上手く行きませんでした」で済ませるのは、忸怩たるものがあります。
やはり、頑張らない子どもがいれば頑張るように仕向け、他に原因があるならその解決を図って、塾サイドとして、できるだけのことをさせて頂くのが筋というものでしょう。
そういうわけで、生徒の勉強指導について、いろいろ試行錯誤を重ねるようになりました。
成績が上がらない生徒たちを見ていると、次のような問題点が浮かびあがります。
勉強の積み重ねがない、計算力、漢字知識、読解力の不足など
ノートを書かない、字が汚い、式や計算をそろえて書かないなど
丁寧に取り組まない、億劫だ、やる気がないなど
上記の要因がいくつもからみあって、現在の成績があるわけです。それを打破しなければならないのですから、これは公平に見て、ちょっとやそっと塾に通う程度では解決しない大問題だと言わなければなりません。
こういう状態で、いくら一時しのぎのテスト対策をしたところで、本当の学力は身につきません。勉強に取り組む姿勢を根本的に見直して、基礎の基礎から再出発する必要があります。
そこで、あさのは塾では、次のような方法を取るようになりました。
一つめは、すべての授業において、一部の時間を国語に割り当てて、読解力の訓練や漢字知識の徹底を図るということです。
通塾するたびに、毎回一定量のさまざまな文章を読みますので、国語力の形成に効果を発揮します。
国語の大切さは誰もが分かっていますが、他教科を優先するために放置してしまいがちです。
英数2教科受講の生徒も、これにより、ある程度国語不足を補うことができます。
二つめは、ノート指導の重視です。ノートなんて何を今さらと思われるでしょうが、むしろ私どもの感触としては、かつてないほど子どもたちの「ノート力」が落ちているという気がしています。
そもそも、成績が伸び悩む生徒の多くは、「書く」という作業自体が不足気味です。4月に購入したノートを、翌年まで持ち越している子どもも多いはず。一度お子さまのノートを手に取って、ぱらぱらとご覧になって下さい。
ノートに黒板の文字を写し、先生の話を聞きながら要点を書き取ることは、すべての勉強の基礎作業です。
さらに、ノートに向かうことで気持ちの集中が促され、勉強に対する意識が前向きになります。ざわついた心が静まり、知識の吸収率も上がっていくのです。
パソコンやネットの発達で、子どもを取りまく環境は、びっくりするほど変わりました。鮮やかな映像やゲームが溢れ、学習ソフトは子どもを楽しませようと懸命です。
これは素晴らしいことには違いないですが、子どもの教育という点から見れば、喜んでばかりもいられません。だって、これまで人間が頭を使ってやっていたことを、機械にやらせて楽をしているわけですから。
自動車が発達して、人間の体力が衰えたのと同じです。子どもの勉強を助けてやるはずのツールが、逆に子どもの勉強力を削ぐ結果を招いているのです。
例えば、穴埋めプリントに慣れた子どもは、自分でノートを書き切れません。そうした子どもたちの「ノート力」が当てにならなくなって、先生がさらにプリントに頼るという悪循環が起きます。
楽しい学習ツールで、気軽に勉強できるのはよいことでしょう。しかし、気軽に取りかかれるということは、気軽に放り出せるということですし、本当の勉強の大変さは、その先にあります。中途半端なツールの利用が、本来必要な、勉強の基礎訓練の時間を侵食しているのです。
勉強をハイキングにたとえるならば、便利な学習ツールは、疲れにくいシューズ、軽くて背負いやすいリュックサックのようなものです。あれば役には立ちますが、絶対に不可欠なものじゃない。
そうではなくて、本来ハイキングで一番大切なのは、最後まで歩き通そうという子どもたちの意気込みであり、それを支える基礎体力ではないでしょうか。子どもに十分な「気力」と「体力」が備わっていれば、少々荷物が重かろうが、道が悪かろうが、目的地には着けるのです。
あさのは塾では、国語やノート学習に取り組むことを通じて、「物事にじっくり向き合う態度」を養い、「勉強の基礎体力」を築こうとしているのです。
大手個別指導塾の宣伝チラシには、スーツを着た爽やかな先生が、お兄さんお姉さんのように生徒に接するイメージが載っています。
しかし、わからないところを教えるだけの話なら、親戚の高校生に頼んだって事は足りるでしょう。本当の先生の役目は、もっとその先にあります。
あさのは塾では、親御さんにかわって、言いにくいことをはっきりといい、勉強への取り組みを変えるよう、生徒に働きかけます。大人が一歩も二歩も踏み込んで、たとえ嫌がられても、口を出さなければなりません。そうでないと、子どもは変わらないからです。
ですから、授業というものは、楽しいと同時に、ある種の緊張関係にあるものなのです。生徒、先生どちらにとっても、苦労と根気が伴うのです。こういう真剣勝負みたいな授業を経て初めて、子どもたちの学力は根本から改善されると、私どもは考えているのです。