2014,09,11, Thursday
先年、梨木香歩の小説『西の魔女が死んだ』が話題になりました。主人公のまいは、あるとき友だち関係に疲れて、学校へ通えなくなります。
そこで、しばらく田舎のおばあちゃんのもとで過ごすうち、だんだん気持ちの折り合いがついていくというお話です。
◆◇◆◇◆
おばあちゃんが言うには、この家は魔女の家系なのでした。そして、まいもまた魔女の心得を教わります。
いわく、魔女になるには、自分で決めたことをやり遂げる力がいる。
魂は身体の影響を受けてはならない。しかし、身体を持つことによって、魂は成長する。
直感は大切にしなければならないが、直感に支配されてはならないなど。
◆◇◆◇◆
あるときふと気づいて、まいはおばあちゃんに言うのです。
「おばあちゃんはいつも私に自分で決めろって言うけれど、わたし、何だかいつもおばあちゃんの思う方向にうまく誘導されているような気がする」
おばあちゃんは目を丸くして、とぼけた顔をしています。
◆◇◆◇◆
さて、まいが見抜いた、おばあちゃんのこの能力こそ、日頃子どもと格闘している親たちが、心の底から望んでいるものにちがいありません。
何ごとも親が決めてばかりでは、子どもの自主性は育たない。かといって、子どもの好きなようにやらせれば、楽な方に逃げていくばかりです。
年齢が上がれば、親子の衝突もあるでしょう。もし、子どもの自主的な選択が、親の願いと一致してくれるなら、大人の心配事はどれだけ減ることでしょうか。
◆◇◆◇◆
とはいえ、おばあちゃんは、最初からこの力を持っていたわけではないようです。
というのは、物語の後半で、ママがおばあちゃんをさして、いつも自信に満ちていて、自分の生き方を押しつける人だと言っているからです。
おそらく、過去に二人は相当やり合ってきたのでしょう。おばあちゃんも、昔は「魔女」ではなかったのです。
それを考え合わせれば、日々子育てに悩む親もまた、実はまい同様に、魔女になるための修行中の身だということがわかるのです。
◆◇◆◇◆
なお、成長して思慮深く、かつ行動力に富んだまいの姿は、別の短編で読むことが出来ます。
「おばあちゃんはいつも私に自分で決めろって言うけれど、わたし、何だかいつもおばあちゃんの思う方向にうまく誘導されているような気がする」
おばあちゃんは目を丸くして、とぼけた顔をしています。
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さて、まいが見抜いた、おばあちゃんのこの能力こそ、日頃子どもと格闘している親たちが、心の底から望んでいるものにちがいありません。
何ごとも親が決めてばかりでは、子どもの自主性は育たない。かといって、子どもの好きなようにやらせれば、楽な方に逃げていくばかりです。
年齢が上がれば、親子の衝突もあるでしょう。もし、子どもの自主的な選択が、親の願いと一致してくれるなら、大人の心配事はどれだけ減ることでしょうか。
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とはいえ、おばあちゃんは、最初からこの力を持っていたわけではないようです。
というのは、物語の後半で、ママがおばあちゃんをさして、いつも自信に満ちていて、自分の生き方を押しつける人だと言っているからです。
おそらく、過去に二人は相当やり合ってきたのでしょう。おばあちゃんも、昔は「魔女」ではなかったのです。
それを考え合わせれば、日々子育てに悩む親もまた、実はまい同様に、魔女になるための修行中の身だということがわかるのです。
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なお、成長して思慮深く、かつ行動力に富んだまいの姿は、別の短編で読むことが出来ます。
あさのは塾便り::勉強・子育てなど | 06:35 AM | comments (x) | trackback (x)