アスペルガー症候群について


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 知的発達に遅れはないのに、いざ学習にとりかかると、いろいろ問題が持ち上がる子どもたちがおり、前回はそのうち、学習障害(LD)と、注意欠陥/多動性障害(ADHD)を取り上げました。

 今回は、こちらもしばしば話題になる、高機能自閉症のアスペルガー症候群について記述します。


・自閉症の3つの症状

 まず、自閉症(autism)とは、次の3つを特徴(ウィングの三つ組)とする発達障害であり、100人に1人の割合でいると考えられています。

1.社会性の障害
 相互に感情と行動のキャッチボールができない、場にふさわしい行動が取れない、年齢相応の常識が身についていない、自分の感情に気づけない、相手の感情に共感できない、など

2.コミュニケーションの質的障害

 独特の言葉使いや言い回し、細かい言葉にこだわる、会話がかみあわない、視線の合わせ方がわからない、表情やジェスチャーが使えない、その意味がわからない、など

3.イマジネーションの障害

 見通しが持てないと不安がる、気持ちをリセットできない、不測の事態に混乱する、応用が利かない、秩序を守りたい、興味がかたよる、覚えたり集めたりが好き、など


・自閉症に対する誤解


 「自閉症」という字面が誤解を生みがちですが、自閉症は自分の心の中に引きこもろうとする病気ではありません。

 そうではなくて、自己表現が苦手で、通常のコミュニケーションの仕方がわからないというだけなのです。(そのため、広汎性発達障害(PDD)と言い換えることもあります)

 また、脳の特性が引き起こすものなので、親が子育てに失敗したとか、環境が子育てに不適切であったというような、後天的な要因によって生じるものではありません。

 自閉症は知能の遅れを伴うことがありますが、知能の遅れが伴わない場合には、これをとくに高機能自閉症と呼びます。


・カナータイプとアスペルガータイプ


 自閉症のうち、人と上手に話せなかったり、風変わりなこだわりを持っていたりなど、いわゆる「自閉症らしい自閉症」の人をカナー症候群と呼びます。

 他方、一見したところ、まったく普通と変わらない様子の方もおり、そうした「自閉症に見えない自閉症」の人をアスペルガー症候群と呼びます。

 アスペルガー症候群の方の多くは、知能障害を伴いません。従って、多くが高機能自閉症に分類されます。


・アスペルガー症候群を認知する


 アスペルガー症候群の方は、一見して普通の人と同じように話し、また多くは知能障害も伴わないために、必ずしもすぐに認知されるわけではありません。

 当の親御さんでさえ、「うちの子は少し変わっている」くらいにしか思っていない場合もあります。

 しかし、もしも思いあたる節があるなら、わが子の様子をじっくり観察し、きちんと情報を収集して、しかるべき専門家に相談する必要があります。

 なぜなら、そういった子どもたちは、すでに社会生活において、親の気づかないところで、いろいろな困難に突き当たっている可能性があるからです。

 また、将来起こるかもしれない出来事に対して、きちんと向き合う心の準備もできます。

 さらに、こうした子どもたちは、学習障害(LD)や注意欠陥/多動性障害(ADHD)の症状を示すこともありますから、あらかじめ、学校に適切な対応をお願いして、先手を打つこともできるのです。


おことわり)
本記事は学習障害(LD)等についての情報提供を目的として書かれました。当塾で学習障害に関わる専門クラスを設けているわけではありません。あしからずご了解下さい。

参考)
文科省(平16) 「小・中学校におけるLD(学習障害),ADHD(注意欠陥/多動性障害),高機能自閉症の児童生徒への教育支援体制の整備のためのガイドライン(試案)」
吉田 友子著 『高機能自閉症・アスペルガー症候群 「その子らしさ」を生かす子育て』 中央法規出版
あさのは塾便り::勉強・子育てなど | 03:56 PM | comments (x) | trackback (x)

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