勉強を克服する工夫について (LDとADHD)


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・学習上の障害を持つ子ども

 知的発達に遅れはないのに、いざ学習にとりかかると、いろいろ問題が持ち上がる子どもたちがいます。

 そういう状態も、一種の発達障害であると考えられるようになり、近年では、具体的な施策が取られるようになりました。

 学習障害(LD)とか、注意欠陥/多動性障害(ADHD)といった分類が、これにあたります。

 LDとは、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論するのどれかが、著しく苦手である状態をいいます。

 また、ADHDとは、不注意(均等に注意が向けられない)、他動(落ち着きがない)、衝動性(行動をためられない)を特徴とする行動障害です。


・勉強が苦手な子どもとの関係

 実際に、子どもが上記の障害にあてはまるかどうかは、素人では判断できないので、必ず専門家のもとで診断してもらわなければなりません。

 とはいえ、LDやADHDの子どもたちの症状を調べていると、どれもこれも、自分の子どもにあてはまるような気がしてくるものです。

 これは、大人が鬱病の症状を調べているうちに、自分が鬱病だと思われてくるのと、似たような事情があると考えられます。

 つまり、心に関する症状の場合、おそらく誰もが、多かれ少なかれ、いろいろな要素を持ち合わせているのであり、たまたまそのどれかが極端な形で現れた場合に、それが疾患として認知されるのだと考えられるからです。

 ですから、症状が少しばかり似ているからといって、すぐさま深刻な事態に直結するわけではありません。


・勉強をやりやすくする工夫

 今ではLDやADHDの子どもたちが、順調に学習を進められるように、子どもたちの特性を踏まえて、さまざまな注意や工夫がなされるようになっています。

 ところで、普通に勉強が苦手な子どもたちもまた、上述のように、彼らほど極端な形ではないにせよ、学習の妨げになるような要素を、潜在的に抱えています。

 そうだとするなら、LDやADHDの子どもたちに対する学習上の配慮は、一般の勉強が苦手な子どもたちの学習に際しても、大いに参考になると思われます。

 そこで、その一端をご紹介していきましょう。

          ◆◇◆◇◆

・「やる気がないんじゃないの」と頭ごなしに叱責しない。本人なりに、一生懸命努力している場合がある。

・「早くやりなさい」とせかすだけではなく、具体的な手順を指示してやる。

・忘れ物をするからといって、本人のだらしなさのせいにして、一方的に叱ったりしない。

・メモを取らせる、それをランドセルにしまわせる、しまったら小指に赤い糸を巻く、というようなシステムを作ることで、具体的に忘れ物をしない工夫をする。

・忘れ物をした場合には、こうすればよいという対処方法を決めておく。

・短期記憶が苦手なことがあるので、指示を短く簡潔にする。一度にたくさんのことを言わない。

・一度にたくさんさせるのでなく、数回に分けてやらせる。

・口で言う、黒板に書く、身振りをつける、香り付き蛍光ペンでチェックさせるなど、複数の感覚に訴えて指示を出す。

・読みが苦手だからといって、できるまで何度も読ませる、というような勉強のさせ方では、解決しない場合がある。

・指や定規を当てて、文章を読ませる。

・大きめの字でないと判別できない場合がある。拡大コピーを使う。

・漢字が苦手だからといって、ひたすら何回も書かせる、という練習方法では解決しない場合がある。

・漢字を練習するときに、言葉やリズム、身振りをつける。大きめに書かせる。書くのが遅いと言って、せかさない。

・消しゴムがうまく使えなかったり、消しゴムを使うことを面倒くさがる場合がある。



おことわり)
本記事は学習障害(LD)等についての情報提供を目的として書かれました。当塾で学習障害に関わる専門クラスを設けているわけではありません。あしからずご了解下さい。

参考)
文科省(平16) 「小・中学校におけるLD(学習障害),ADHD(注意欠陥/多動性障害),高機能自閉症の児童生徒への教育支援体制の整備のためのガイドライン(試案)」
吉田 友子著 『高機能自閉症・アスペルガー症候群 「その子らしさ」を生かす子育て』 中央法規出版
品川 裕香著 『LD・ADHD・アスペルガー症候群 気になる子がぐんぐん伸びる授業―すべての子どもの個性が光る特別支援教育』 小学館

あさのは塾便り::勉強・子育てなど | 12:22 PM | comments (x) | trackback (x)

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