『ゲド戦記1 影との戦い』 その1


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 『ゲド戦記1 影との戦い』(アーシュラ・K.ル=グウィン著、清水真砂子訳)はアースシー(Earthsea)という世界に生きた大魔法使いゲドの少年から青年期にかけての物語です。著者のル=グウィンはアメリカの女性SF・ファンタジー作家、1968年の作品です。

 ゴント島の小さな村の鍛冶屋の息子として生まれたゲドは幼いころ母を亡くし野山を走り回って雑草のように育ちました。背は高く動作は機敏でしたが騒々しく傲慢ですぐにかっとなる子どもでした。

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 古来ゴントは魔法使い輩出の地なのですが、ゲドもふとしたことから魔法の才能があることがわかり叔母から手ほどきを受けます。

 ゲドが12歳のとき粗暴なカルガド人たちが島を襲いますが、ゲドは手持ちの魔法で彼らを追い払うことに成功し、これをきっかけに高名な魔法使いオジオンの弟子となります。

 しかし、その後も持ち前のプライドの高さ、嫉妬、功名心が災いし、とうとう死者を呼び出す禁断の魔法に手をつけてしまいます。

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 さて、本書には素朴でささやかなたくさんの魔法が出てきます。たとえば山羊を呼び寄せたりいぼを治したり、重い荷物を動かしたり鍋釜を直したりというように。

 雨が降れば雨よけの呪文が唱えられ、彼らの呪文によって雨雲があっちへ押されたりこっちへ押し返されたり、ついにはのんびりと雨を降らすことのできる海の上へ集まっていくのがよく見られた、といった具合です。

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 しかし、それらはどちらかといえばまじない師たちの領域であって、真の魔法使いは均衡と様式を心得なければならず、いよいよのときがくるまではむやみに術を使うことはできません。

 ル=グウィンは魔法世界の構築にあたって原理と限界を定め魔法の野放図な使用を許しませんでした。魔法は宇宙の均衡を揺るがします。光には影が、力には危険がつきまとうものです。

(次の記事へ続きます)
あさのは塾便り::本・映画など | 07:56 AM | comments (x) | trackback (x)

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