2025,08,01, Friday
クラシック音楽の曲名には、シンプルなものが多いです。たとえば、ベートーベンのピアノソナタは以下のよう。ピアノ・ソナタ 第1番 ヘ短調 op.2-1
ピアノ・ソナタ 第2番 イ長調 op.2-2
ピアノ・ソナタ 第3番 ハ長調 op.2-3 …
こんな調子で32番まであります。
★☆★☆★
さて、番号だけ振られたこれらの曲は、自分には、ダンジョンに素っ気なく配置された宝箱のように見えました。いったい中に何が入っているのか、できれば全部聞いてみたい。
「悲愴」とか「月光」とかタイトル付きのものもありますが、むろん、漢字2文字で、曲の全容が表現できるはずはないのです。
★☆★☆★
これは、図書館に行って、誰にも読まれていない古い本を借りてしまう気持ちに似ています(昔は本に図書カードがついて、借りた人の記録が残るようになっていました)。
あるいは、乗り鉄の方が全線制覇しようとするのと同じでしょうか。とくだん何の役にも立ちませんが、変な征服欲をそそられるのです。
★☆★☆★
一曲ずつ聞いていると、心惹かれる旋律に出会うこともあり、ときに、大当たりみたいな曲を見つけることもあります。
逆に、心に届かない曲も多い。繰り返し聞くうちに、よさがわかる曲もあり、全く入り込めず、今日に至る曲もあります。
★☆★☆★
ふしぎなのは、自分の心には嵐のように響くのに、家族の心にはそよとも吹かないこともあるし、また、その逆もあることです。
音楽的才能に恵まれている方は、自分にはついぞ聞こえない音を聞いているのだろうなと想像します。同じ人間なのに、不公平なことです。
★☆★☆★
ふつう音楽体験といえば、歌やリズムが心地よくて、体が揺れたり、口ずさんだり、心や体が頭より先に反応するものだろうと思います。
でも、クラシック体験の場合、いつもそうなるとは限りません。知らない曲の演奏会に行って、つらく退屈な思いをした経験は誰しもあるでしょう。
★☆★☆★
曲を聞きながら、言葉ばかりが頭を浮遊して、没入できないこともあります。キャパシティーを越えた音が、アース線に逃れるようなものでしょうか。
かと思うと、耳が聞こえないベートーベンが、眠れぬ夜、一心にピアノを弾いているとき、そのピアノからは少しも音が出ていなかった、などというエピソードを思い出して、聞く前から感動したりします。
クラシック体験って、どうも一筋縄ではいきません。
★☆★☆★
クラシック音楽の「解釈」というものも、わかりにくいです。
指揮者って、みんながずれないように合図をするための人だと思ってました。が、本当の役割は、楽曲に独自の解釈を与え、全体の演奏をまとめ上げていくことだそうです。
★☆★☆★
それでは、解釈って何なのでしょう。作曲家は、自分の曲を勝手に解釈されて腹は立たないのでしょうか。
解釈の違いは、少しずつ聞き取れるようになるのですが、プロの音楽家の能力は段違いのようです。以下、ヴァイオリニストの五嶋みどりさんと、その母上の五嶋節さんの談話を引用します(最相葉月著『絶対音感』から)。
★☆★☆★
(五嶋節) カーテンの向こうに十人のバイオリニストが並んで弾いたとして、その子がどこの国の人かわかる?
(五嶋みどり) わかると思う。日本人、韓国人、ロシア人、男か女かもわかる。ピアノだともっとわかるかもしれない
- なぜわかるのですか。
(みどり) 弾き方、音楽性の違い。でも、ロシア人は最近国外に出てしまっているから、キャラクターが減ってきているかもしれない。 オーケストラも、弦楽器の最初の一、二小節聴けばどこのオーケストラかわかります
(節) NHK交響楽団は男性が多いからか、音が丸いわね。PMFオーケストラは、まさに混じってるという感じ
(みどり) 男の人のほうが音が丸い。 女性はファイアーがある
(節) みどりはアメリカの色も知った東洋の女っていう感じね。 チョン・キョンファもそう。 諏訪内晶子さんは日本の女っていう感じがすごくする
あるいは、乗り鉄の方が全線制覇しようとするのと同じでしょうか。とくだん何の役にも立ちませんが、変な征服欲をそそられるのです。
★☆★☆★
一曲ずつ聞いていると、心惹かれる旋律に出会うこともあり、ときに、大当たりみたいな曲を見つけることもあります。
逆に、心に届かない曲も多い。繰り返し聞くうちに、よさがわかる曲もあり、全く入り込めず、今日に至る曲もあります。
★☆★☆★
ふしぎなのは、自分の心には嵐のように響くのに、家族の心にはそよとも吹かないこともあるし、また、その逆もあることです。
音楽的才能に恵まれている方は、自分にはついぞ聞こえない音を聞いているのだろうなと想像します。同じ人間なのに、不公平なことです。
★☆★☆★
ふつう音楽体験といえば、歌やリズムが心地よくて、体が揺れたり、口ずさんだり、心や体が頭より先に反応するものだろうと思います。
でも、クラシック体験の場合、いつもそうなるとは限りません。知らない曲の演奏会に行って、つらく退屈な思いをした経験は誰しもあるでしょう。
★☆★☆★
曲を聞きながら、言葉ばかりが頭を浮遊して、没入できないこともあります。キャパシティーを越えた音が、アース線に逃れるようなものでしょうか。
かと思うと、耳が聞こえないベートーベンが、眠れぬ夜、一心にピアノを弾いているとき、そのピアノからは少しも音が出ていなかった、などというエピソードを思い出して、聞く前から感動したりします。
クラシック体験って、どうも一筋縄ではいきません。
★☆★☆★
クラシック音楽の「解釈」というものも、わかりにくいです。
指揮者って、みんながずれないように合図をするための人だと思ってました。が、本当の役割は、楽曲に独自の解釈を与え、全体の演奏をまとめ上げていくことだそうです。
★☆★☆★
それでは、解釈って何なのでしょう。作曲家は、自分の曲を勝手に解釈されて腹は立たないのでしょうか。
解釈の違いは、少しずつ聞き取れるようになるのですが、プロの音楽家の能力は段違いのようです。以下、ヴァイオリニストの五嶋みどりさんと、その母上の五嶋節さんの談話を引用します(最相葉月著『絶対音感』から)。
★☆★☆★
(五嶋節) カーテンの向こうに十人のバイオリニストが並んで弾いたとして、その子がどこの国の人かわかる?
(五嶋みどり) わかると思う。日本人、韓国人、ロシア人、男か女かもわかる。ピアノだともっとわかるかもしれない
- なぜわかるのですか。
(みどり) 弾き方、音楽性の違い。でも、ロシア人は最近国外に出てしまっているから、キャラクターが減ってきているかもしれない。 オーケストラも、弦楽器の最初の一、二小節聴けばどこのオーケストラかわかります
(節) NHK交響楽団は男性が多いからか、音が丸いわね。PMFオーケストラは、まさに混じってるという感じ
(みどり) 男の人のほうが音が丸い。 女性はファイアーがある
(節) みどりはアメリカの色も知った東洋の女っていう感じね。 チョン・キョンファもそう。 諏訪内晶子さんは日本の女っていう感じがすごくする
あさのは塾便り::本・映画など | 09:15 AM | comments (x) | trackback (x)


