学習塾の興亡


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 当塾は今を去ること十数年前、大学院に籍をおいていた塾長が食うに困って始めたものです。講師や家庭教師を続けていましたから、教える分に困ることはありませんでした。教え好きと塾経営の才能に、相関関係はないと気づくのはもっと後のことです。

 当時は、今より子どもの数が多く、学校のクラスもたくさんありました。塾の授業形式も「クラス授業」が主流でしたね。100人単位の授業を行っていた予備校が50人のクラスを作り、「少人数クラス」と宣伝していたような時代でした。(この予備校も今はありません)

 そんななかで、数人クラスを作り「少人数」「個別指導」とアピールしました。共通の解説は一緒に行い、あとは、先生が生徒と顔を付き合わせて、説明したりノートに書かせたりしていました。この授業方式は、基本的に現在も変わっていません。


・ゆとり教育の始まり

 2002年(平成14年)に本格的なゆとり教育が始まりました。初めて教科書やテキストを見たときのショックは、今でも覚えています。「子どもたちは大丈夫なのかしらん」と思うと同時に、「塾業界もえらいことだ」という気がしました。

 テキストの字が大きくなり余白が広がって、隙間風がピューピュー吹いてきそうです。子どもが引っかかりそうな問題は全てカットされ「塾で教えることなんてなくなっちゃったな」と思いました。

 実際、フランチャイズの塾などはかなり姿を消しました。クラス授業を前提としていたので、採算が取れない上に、規約に縛られて柔軟な対応が取りにくいということがあったようです。


・競争の激化

 ここで少し統計を紐解いてみましょう。

 文科省の「子どもの学校外での学習活動に関する実態調査報告」(平成20年)によると、中学生の学習塾通塾率は

昭和60年 44.5%
平成 5年 59.5%
平成19年 53.5%

となっていて、ゆとり開始の平成14年に一度落ち込んだあとは、再び増加に転じています。つまり、「学力低下」「脱ゆとり」が叫ばれ始め、保護者の危機感が募って、塾に通う子どもの割合は復調に向かったのです。

 しかし、問題は、子どもそのものの数ですね。国勢調査によれば、10~14歳の人口は

平成 2年度 約853万人
平成22年度 約592万人


です。つまり、ここ20年で子どもが約3割も減ってしまいました。

 ところが、学習塾関連の就業者数を見てみると、

平成 2年 約18万人
平成22年 約21万人

とむしろ増えています。子どもの人数は減少しているのに、参入する数は増加傾向にあるのです。

 さらに、この就業者数のうち、雇人のない業主数(個人塾・個人の家庭教師など)の割合を出してみると、

平成 2年 約40%
平成22年 約11%

と、大幅に減少しています。

 これらのことから、少子化とゆとり教育を背景に、新しい状況に対応した大手業者が戦略的に攻勢を仕掛け、クラス授業を中心とした旧来型の塾や、個人塾の多くは撤退を余儀なくされてしまったのだろうと見ることができます。

 かつて学習塾は、引退した学校の先生が近所の子どもを集めて教えるような、気楽に参入できる業種でした。そんな長閑な風景もすっかり昔語りになってしまったのです。
あさのは塾情報::雑感 | 08:50 PM | comments (x) | trackback (0)

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