ゲーム世界と現実と その2


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 (承前)

 またその頃RMT(リアルマネートレード)というものが問題になりました。ゲーム内の通貨やアイテムなどを現実のお金で売買することを言いますが、とくにひどかったのが中国の業者です。

 彼らは本国から集団で参加し、一般のプレーヤーの妨害をしてレアなアイテムを独占したり、ゲーム内で架空の取り引きを繰り返し値段をつり上げたりして荒稼ぎをしました。

 素朴に楽しんでいた大多数のプレーヤーはゲーム内インフレが続く理由がわからないまま高い品物を買わされていました。今振り返れば、これは昨今のマスクやアルコールの高値転売の状況とそっくり同じです。

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 彼らが集めたゲーム内通貨やレアアイテムは現実世界でネット販売され、お金を振り込むと先方のキャラクターがゲーム内で接触してきます。

 時間をかけて自力で手に入れるよりもお金で解決したいというプレーヤーがこれを購入するわけで、まあ買う方も買う方なのです。

 数万円ほどの取り引きでもあちらの物価では立派な商売として成立し、中国にはそうした業者が数多く存在して欧米や日本のゲームを荒らしまわっていました。

 潜入映像なるものを見たことがありますが、真夏にエアコンのない部屋で、半裸の殺伐とした様子の男たちがすし詰めで黙々と単調なゲーム内作業をこなしています。

 もちろんそんな状況でのゲームが楽しいわけはないでしょう。彼らにとってはそれが生活のための仕事なのでした。夢と冒険への旅立ちは世界の現実と背中合わせになっていたのです。

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 ゲームに熱中して抜けられなくなると、勉強や仕事が手につかなくなり生活が崩壊し始めます。それがゲーム依存症ですが、ちょっと冷静に考えてみると依存症って何だか矛盾した状態です。

 というのは、ゲームが好きな人は何よりもゲームを末永く続けたいはずなのですが、現実の人生がボロボロになれば、結果的にゲームを続けることは叶わなくなるからです。

 ですから、ゲームを続けていくためには、まず人生をきちんと続けなければなりません、本末転倒のようですが、本当にゲームをやりたいならそれくらいの覚悟はしなさいということです。

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 あるいは、人生はゲームの一部であると言ってもよい。そもそも自分の人生に対してゲームと同じようなワクワク感を得る努力をしているでしょうか。

 ゲームの世界では努力するほど思い通りに事が運び、それに見合った成果を得ることができる。しかし、現実世界ではなかなか主導権を握ることができないし、達成感を得ることも難しい。

 だからゲームの方が楽しい。なるほど。しかし、本当にそうなのだろうか。本当に現実に働きかけてからそう言っているのでしょうか。

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 この国で平均的な生活を送っているなら、人生はずっとゲームに似てきている気がします。生まれた階級によって一生が決まってしまうようなことはないし、最低限のチャンスはだれにでも開かれている。

 幸いにして私たちは人生をゲームのように考える特権を持っている。隣国の労働者のように創造世界の中にすら現実を持ち込んで疎外された労働に従事する必要はないのです。

 まず人生の主導権を握りましょう。それにはどこから始めるのがよいのか。もっと軽やかに自分の人生に取りかかるべきだ、というのが今回の結論なのですがいかがでしょうか。
あさのは塾情報::本・映画・他 | 12:44 PM | comments (x) | trackback (x)

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