『バクダッド・カフェ』


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 『バグダッド・カフェ』は、1987年の西ドイツ映画(パーシー・アドロン監督)です。

 アメリカ、カリフォルニア州にあるモハーヴェ砂漠。日本でいえば近畿地方ぐらいの大きさに広がるその荒涼とした砂漠のなかに一軒のカフェがあります。

 モーテルとガソリンスタンドが併設されてはいるものの、風で吹き飛びそうな建物といい、砂にまみれた看板といい、今にも砂漠に埋もれてしまいそう。その名も『バグダッド・カフェ』がこの映画の舞台です。

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 カフェの女主人ブレンダは、道路を走るトラック運転手たちを相手に店を切り盛りしていますが、毎日がヒステリー気味です。それというのも、亭主は気が利かなくて役立たず、娘は男友達と遊び呆けてばかり。息子はピアノばかり弾いてろくに店を手伝わないし、赤ん坊のお守りもしなければならない。

 散らかり放題の部屋、埃まみれの客室、まずいコーヒーに料理、何もかもが上手く行かない見本のような生活のなかで、ブレンダは家族を怒鳴りつけながら必死で仕事を回そうとしています。

 そんなある日、1人の太った中年女性が宿を借りに訪れます。彼女の名はヤスミン。ゆったりした不思議な雰囲気の持ち主で、何か事情があるのか宿に居着いて帰る様子がない。彼女はモーテルの人々の心にすっと入り込み、仕事を手伝い始め、最初は警戒していたブレンダもだんだんに心を許していくようになります。

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 まず、時間が止まったようなアメリカの片田舎。殺風景な大平原。果てしなく続く貨物列車。「コーリング・ユー」というテーマ曲がバックに流れる気怠い雰囲気。そういう単調で素朴な世界がとても心地よく感じられます。

 それから、自分を取り巻くどうしようもない厄介ごとが、ちょっとしたことをきっかけに少しずつスムーズに回り出す予感。散らかったパズルのピースがきちんと嵌まるようにして片付いていくという幸福感。

 自分の心持ち次第で人生にはしばしば魔法のような出来事が起こるということを思い出させてくれる映画です。
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