「万物の根源は水である」 タレス


あさのは塾ブログ

HOME > ブログ

原子論との関係

 世界が何からできているか知っていますか?

 そう、この世のあらゆるものは「原子」でできています。ところで、原子の存在を初めて唱えたのは古代ギリシアのデモクリトス達で、彼らはタレスの後輩にあたります。

 だから、タレスのこの言葉も原子論の元祖のように語られることがあります。でも、水を部品のように考えているわけではないし、タレスの重要性は本当はもっと別のところにあります。

タレスの生涯
 タレスは今から2600年ほど前(紀元前5世紀頃)ギリシアのミレトスで生まれました。

 当時のギリシアは古代オリエント文明の影響のもと、多くの都市国家が競い合い豊かな文化が花開きました。

 タレスは政治や土木技術に携わり、エジプトでピラミッドを調べたり日食が起こることを予告したりしたと言われています。

 そういう人物によって語られた言葉なので、なかなか深い意味があるはずなのです。

生命力としての水

 水がなければ生命は生きられない。だから水は生命力の源である。

 大地は水に浮かび、水は世界を循環する。水は雨となり川となって海へ流れ、その過程で土地を形づくる。

 おそらく世界は水からできている。だから生命力の源があらゆるものに行き届いているのだし、無生物でさえ魂を持っている。

 うーん、なんだかピンと来ないですって?

秩序ある宇宙

 この世界には多種多様なものがバラバラに存在しているように見えます。でも、その背後には何か共通で統一的な原理が隠れているのではないか。

 この宇宙は探究するに値するものであり、私たちは知的好奇心を発揮せずにはいられないだろう。

 そんな風にして、歴史の最初期に世界について注意深く観察と思考を重ねたところにこそ、タレスの重要性はあります。

自分で考える

 タレスは神話や言い伝えを鵜呑みにせず、経験を重んじ合理的な説明を求めました。彼の唱えた説は正しかったとは言えないでしょうが、その思考方法は後世に引き継がれました。

 私たちは三平方の定理、万有引力の法則、メンデルの法則などさまざまな定理や法則を学校で習うでしょう。それらはタレス以来人々が飽かず世界を探究し続けてきた成果なのです。

哲学のはじまり

 既存の知識に満足せず、常に好奇心を持って新たな知を求める態度は「フィロソフィア」(知を愛すること)と呼ばれました。

 日本語ではこれを「哲学」と訳し、タレスは哲学の祖と呼ばれています。哲学というと何か難しいことのようですが、もともとはあらゆる知識を探究し続けることを意味していたのです。
あさのは塾便り::本・映画など | 08:27 AM | comments (x) | trackback (x)

pagetop