カオスが口を開けるとき


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 かつて南海の帝の名は儵(しゅく)、北海の帝の名は忽(こつ)、中央の帝の名は渾沌(こんとん)といった。

 あるとき儵と忽が渾沌に会いに行き、渾沌は彼らを手厚くもてなした。そこで儵と忽はその返礼をしなければと考えた。

 「人間には皆7つの穴があり、それで見たり聞いたり食べたり息をしたりしている。しかし渾沌にはそれがない。だから試みに穴をあけてやろうではないか。」

 かくして一日に一つずつ穴を開けてやると、七日目に渾沌は死んでしまった。
(『荘子』内篇應帝王篇第七)

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 上記は紀元前4世紀の中国の思想家「荘子」が伝える不思議なお話です。

 「混沌としている」といえば物事が入りまじった無秩序な状態を表します。英語で言えば「カオス」(chaos)、これは最近の若い人も使うでしょう。

 その反対語が「コスモス」(cosmos)で秩序とか宇宙とかを表します。

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 人間はこの宇宙が秩序あるものだと考えその法則を読み取ろうとしました。またその秩序を整えるべく苦心して社会を築いてきました。

 その努力はこれまでのところ上々の成果を上げてきました。でもそれは完璧であるにはほど遠い。

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 君たちは日々悩みを抱えているはず。なぜ勉強しなければならないのかと考え、友だち関係がうまく行かないと言って落ち込んでいる。

 それもそのはず、なぜなら人間は生き方を知らずにこの世に生まれてくるものだから。わからないところは一つずつ自分で決めていくしかないのです。

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 「仕方ないでしょ、世界は残酷なんだから。」これはアニメ「進撃の巨人」のミカサのセリフですね。

 リアルな世界に巨人はいない。でもカオスは人生の至るところに口を開けて待っています。

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 幸いなことに君たちには若さとエネルギーがある。よく面白がって「カオス!」と叫ぶ人がいるでしょう。

 おそらくはあれがコツだ。人生のカオスを笑い飛ばしカオスに立ち向かってください。
あさのは塾便り::本・映画など | 08:09 AM | comments (x) | trackback (x)

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